
そんなに誘惑したい?
南インドの料理のひとつ、ビリヤニ。それぞれのスパイスの繊細な香りの調和を感じる魅力的なディッシュだ。一口一口スプーンを運ぶと、毎回異なる香りと味がする。どれも必要な構成要素で、ひとつも欠けてはいけないような気がする。香りが味を、味が香りを邪魔しない。オーケストラを聴いているみたいだ。こんなにセクシーなビリヤニを食べた直後、わたしは昇天している。speechless.
自分で鏡は見ていないからわからないけど、もしかしたらイッてるときの顔みたいな顔だったかもしれない。シェフはそのわたしを見て笑う。I came.
流れるインドの音楽、飛び交うインド英語。冷たい窓からの風と、エアコンからの暖房がどちらも当たる謎の席。かなり強気な価格設定、情報過多なお店のインスタグラム。どの要素も、わたしのこの時間に必要なものだ。
入店するたびに思う。作る側が真剣だから、いただく私も真剣でありたい。この幸せにお金を使うのが私の贅沢な行動のひとつ。
20代の頃はお金がこわくて仕方なくて「貯める」ことばかり考えていた。見えない将来にビクビクして、使うたびにどこか罪悪感を覚えた。
しかしながら、お金を支払うということがようやく楽しくなってきた。大好きな人に感謝の気持ちを込めてお渡しするお金は、全く汚くなかった。使っていて気持ちがいい。清々しい。家に帰ってきたのに、シェフにもう会いたい。
私のお金はもう少し循環させた方がいいかもしれない。血液と同じように、滞留させてしまうと行かないし、来ない。もっと身軽に、気持ちよく。

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