
私が今焼いているのは
クッキーじゃなくて サブレ
カントリーマアムみたいなしっとりでもないし
割りごたえのある硬いものでもない
口に入れた瞬間に
さらさら ほろほろ って 崩れていってしまう繊細なサブレ
サブレの語源は
「砂」を意味するフランス語「sable」だそうです
2回目のサブレは
満足いくものにならなかった
生地づくりがうまくいかなくて
焼成も 投げ出してしまったの
モチベーションが下がったとき
気分が落ちこんだ時に
気持ちが沈んだ時に
立て直す方法って あるのかな?
奮い立たせる というけど どうやってやるんだろう?

私のおうちはろくじょうひとまだから
お菓子を焼くときは 普段作業する机を 空っぽにしてから始まるんだ
普段作業する机に乗っていた パソコンや小物たちは 牛のレザーソファにお引越し
ほんとうは
お菓子の作業するのには
もう少し低い机のほうが いいんだ
そこに意識が向くまで
机の高さなんて意識したこともなかった
机を意識しだしたら
レストランの机の高さも 気になるようになった
私のよくいくインドのカレー屋さんの机は 高い
意識って 面白いね
映画ってさ
観る人の意識が外に向かないように
毎秒疑問がひとつは生じるように作られているんだってさ
そんな観方をしたことがなくて
謎のプリンス みなおしちゃったよ
作品そのものじゃなくて
その作品をつくった作り手への意識

いってらっしゃい
わたしは作り手のときは
受け取る人のことを 想像する
さんにんのことを考えたら
プレーンじゃなくて 紅茶のサブレにしたくなった
わたしね 思うの
お菓子を渡すときに
喜んでくれる人って
わたしのことを信じてくれているの
だって わたしが
毒を入れるかもしれないでしょう?
わからないんだ
信じてもらえなかったら
受け取ってもらえないんだよ
ものを受け取ってもらうのは 当たり前じゃないんだ
その人たちと出会えたこと
その人たちを想像して
サブレを焼いたその時間に感謝を